相手のショットを予測する「相手の配球のくせ」
今回の記事は、”相手の配球のくせ”のデータを利用して相手のショットを予測するということについて説明をしたいと思います。
多くの選手に”配球のくせ”は存在します。
これは、選手自身は気付いていない場合も多いのですが、何度も対戦したことのある対戦相手はきっと一番良く知っています。
試合中はきっと夢中になってプレーをしているはずですから、なかなか自分のショットを冷静に分析できません。
しかし、おそらく対戦相手に聞いても教えてはくれないでしょう。
そこで、自分の試合をビデオに録画して、それぞれの状況で必ず同じショットを打っていることがないかなどを確認することも大切だと思います。
そしてこれは、場合によっては致命的な失点につながりますから、できる限り無くして行く必要があります。
例えば、特定の状況でのパッシングショットのコースが決まっているとしたら、重要なポイントで相手がネットに詰めてきて、そのパスのコースに的を絞られてしまうようであれば、試合に勝てるわけがありませんよね。
そこで、多くの選手は、自分の配球のくせを無くそうとし、またそのくせを隠そうとするものです。
しかし、すべての状況で満遍なくコースを突き、様々な球種を織り交ぜて打って来ると言った選手はそうはいません。
多くの選手は、それぞれの状況に対してプレーの仕方がおよそ決まっています。
そして、これは、余裕がないときほど、隠しきれないものなのです。
従って”相手の配球のくせ”のデータを用いることは、相手に余裕が無いときに大変有効な予測手段になります。
しかし、前回の記事で説明した、”相手のコースや球種に対する得意不得意”のデータを利用した予測と同じく、初対決の相手に対して”相手の配球のくせ”のデータを利用するためには、試合開始後の数ゲームの間、相手のプレーの観察と分析をすることが不可欠です。
この中で、こういう状況になると決まってこうしてくるといった配球を見つけることが大切です。
例えば、”クロスに深く高いボールを打つと、いつも同じような深く高いボールで返球してくる”とか、”重要な場面でフォアハンドに回り込んだら決まって逆クロスに角度をつけてくる”、他には、”ゲームポイントでのランニングショットはほとんどストレートに打って来る”などです。
これが判ることで相手のショットに対する対応に余裕が生まれ、このことは自分のプレーの質を高く保つために大きな貢献をします。
また、くせによる配球とは、日頃から意識せずに数多くやっている配球です。
相手があなたに自分の配球を読まれていると感じたら、通常やっている配球と違えた配球をしようとするでしょう。
このことが、相手のプレーの確実性を下げることにつながるかもしれませんし、相手が毎球ごとにそれを考えなくてはいけないようであれば、与えるプレッシャーは大きなものになるでしょう。
また、相手のメンタルも次第に追い込まれていくに違いありません。
今までに説明をしてきた以下の項目では、基本的に相手はショットのコースと球種を選択して打ってきていますので、完全にひとつのショットを予測して待つというわけにはいきません。(例えば、相手がセンターにいて、あなたもセンターにいるというだけであれば、相手が右に打つか左に打つかは、はっきりと予測できるものではありません。)
従って、これらのケースでは同じ状況であったとしても、相手が違ったショットを打って来る可能性は当然ありえるわけですから、相手のショットを予測する「相手がコートのどこから打ってくるか」の記事で説明したように、この状況ではここには打ってこないだろうといった予測をすることが多くなるはずです。
・相手がコートのどこから打ってくるか。
・自分がコートのどこにいるか。
・相手のコースや球種に対する得意不得意
しかし、今回の”相手の配球のくせ”に関しては、多くの場合相手はショットを選択するのではなく、意識をせずに、自動的に打ってしまっているのです。
従って、もしも、相手があなたにそのくせを見抜かれていることに気づかないようであれば、その試合の間、あなたは常に相手のショットを完全に予測することが可能になるということです。
しかし、相手がしっかりと作戦を立ててプレーを組み立ててくる場合は、くせによる配球と思わせておいて、重要な場面でショットを変えてくることもありますから、このデータだけに頼ることは危険です。
もしも、それと思しき配球を見つけたとしたら、特にその後の重要なポイントでは気をつけなくてはいけません。
やはり、これまでに説明してきたデータとともに、これから説明するデータを交えて、多くの情報を基にして予測をすることが大切です。
次回は”セオリー”のデータを利用して予測をすることについて説明をしたいと思います。
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